インド映画の隠れた名作「ピザ!」徹底解説: スラムの兄弟が描く、希望と現実の交差点

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予備知識

原題の「Kaaka Muttai」の意味

映画『ピザ!』の原題「Kaaka Muttai」はタミル語で「カラスの卵」という意味です。このタイトルは、映画の中で幼い兄弟がカラスの巣から卵を取るシーンに由来しています。この行動は彼らの生活状況の一部を象徴しており、映画の主要なテーマや物語の展開と深く関連しています。

「Kaaka Muttai」は、単に兄弟の日常的な活動を表すだけでなく、彼らの生活の単純さと純粋さ、そして彼らが直面する貧困という厳しい現実を暗示しています。このタイトルは、映画の核心的な要素を象徴的に表現しており、観客に物語の深い層を感じさせるものとなっています。

受賞歴

  1. ナショナル・フィルム・アワード:
    • 映画は、第62回ナショナル・フィルム・アワードで「最優秀子供映画賞」と「最優秀子役賞」を受賞しました。これらの賞は、インド映画界で最も権威のある賞の一つです。
  2. インディアン映画祭ロサンゼルス:
    • 2015年のインディアン映画祭ロサンゼルスで「観客賞」を獲得しました。この賞は、観客の投票によって決定されるため、映画が広い観客層に受け入れられたことを示しています。
  3. その他の国際映画祭:
    • 『ピザ!』は、トロント国際映画祭やブカレスト国際映画祭など、世界各地の著名な映画祭で上映され、評価されました。これらの国際的な映画祭での上映は、映画の国際的な影響力と普遍性を証明しています。

子役の選定

この映画を重要な役割の兄弟は、実際のスラム在住の子供達から選ばれました。そのため演技経験は無かったものの自然な演技で作品にリアリティさを生み出しています。

話したくなる豆知識

野良犬を売るシーンは

映画では、2人の子供が野良犬を通行人に売っているシーンがあります。

このシーンはリアリティを出すために、映画の撮影スタッフは子供たちに「お金がなくなってきているので、続けるにはお金が必要だ」と嘘を伝えて、このシーンを撮影。子どもたちはその犬を実際に売ることに決め、その様子が撮影されました。

教育費を後援

先ほど書いたように、子供たちは二人ともスラム街の出身です。映画の出演に際し、プロデューサーが彼らの教育費を後援しました。

「ピザ!」が好きな人におすすめ映画

兄弟の成長と冒険の物語『レインボー』

視力を失った弟と彼を助けようとする姉の旅を描いており、『ピザ!』と同様に、兄弟の絆と彼らの冒険を中心にしたストーリーが特徴です。彼らの旅は、希望と夢を追い求める心温まる物語を紡ぎ出します。

学校で繰り広げられる友情の物語『スタンリーのお弁当箱』

学校での友情と食べ物を巡る素敵な物語です。この映画は、主人公のスタンリーと彼のクラスメートたちの関係を通じて、子どもたちの世界を優しく描き出しています。

少年たちの成長を描く儚いの物語『スタンド・バイ・ミー

この映画は、4人の少年たちが死体を探しに行くという冒険を描いていますが、その本質は友情、成長、そして無垢な時代の終わりについてです。『ピザ!』と同じく、子供たちの視点から描かれるこの物語は、感動的で心に残るものです。

まとめ

『ピザ!』は、インドのチェンナイのスラム街を舞台にした、心に深く響くヒューマンドラマです。

この映画は、貧困と格差社会の現実を、幼い兄弟の純粋な目を通して描き出しています。彼らのピザを手に入れようとする単純ながらも深い願いは、社会的な問題への洞察と人間性の複雑さを観客に提示します。

監督M・マニカンダンのリアリズムと詩的な映像スタイルは、映画に視覚的な美しさと感情的な深みをもたらし、観客に強い印象を与えます。

『ピザ!』は、単なるエンターテイメントを超え、観客に社会的な意識と深い共感を促す作品です。この映画は、家族、希望、そして夢への追求という普遍的なテーマを通じて、観客に新たな視野を提供し、心に残る感動を与えます。

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